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「うぁぁぁぁぁぁ!!」
智也は頭を手で押さえながらのたうち回り始めた。
目は血走り、冷や汗が吹き出している。
「おまっ、ほんっとに…
舌噛んでっ…おまっほんっと…。ああああああ!!」
床で転がり回っている弟を雄太は黙って見下ろしていた。
腕を組み、威風堂々たるオーラを出しながら勝ち誇った眼差しを送っていた。
「スタディをしないからバチが当たったんだ。」
「バチってレベルじゃねえだろ。ちょっと血でてんじゃんか!頭から血が出ちまってるよ。
やばいよ死ぬよ。
どうしてくれんねん!」
痛みが一段落した智也は床に座り込み、血のついた手をみて慌てていた。
「そんなもの、つばでもつけてりゃ治る。」
「治んねえよ。俺のつばにそんな神秘的な成分は含まれてないんだって。」
「俺のつばには含まれているぞ。ほらほら!ペッペッペッ。」
雄太は智也の頭に目掛けてつばを吐き出し始めた。
「やめろやめろ!!
馬鹿だろ。完全に馬鹿だろ。
もう大人しくスタディしろよ。」
「スタディしなきゃな。
こんなことに時間を取られてる場合ではない。
部屋に戻るとしよう。」
雄太は死にかかっている智也を背にして歩き始めた。
「あ、そうだ。智也。」
「なんだよ。
まだ何か用かよ。」
「あの可愛かった女の子、鈴本さんだっけ?最近どうしてる?」
めんどくせぇ…
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