8章

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来客用の部屋に籠ってから10分。 ベッドに座り、水着を持ったまま動けないでいた。 先週、梨花と一緒に水着を買いに行った。 実は梨花と松田さんも沖縄に来ている。滞在場所は違うけどね。 それで沖縄のために水着を買いに行ったのだ。 私が選ぶものすべて、それだめって梨花に拒否されて唯一、許しをもらったのがこの水着。 白地に小さい水玉模様。ほんとは黒が欲しかったのに透けそうな白だなんて。 でもこの水着、胸が出ちゃうんじゃないのこれ。っていうぐらい胸が見えちゃいそう。 「美優、入っていい?」 「だめ。まだだめっ」 「早く行くよ」 「今行くから待ってー」 諦めようよ、私。 渋々水着を来て、長めのパーカーを着て部屋を出た。 「どうした?」 「え?」 「具合悪い?」 「ううん」 せっかくの旅行なんだから落ち込んでちゃだめだよね。 「じゃ、海入ろう」 蓮は男だからお構いなしにTシャツを脱ぐと、ほどよい筋肉の裸が眩しいぐらいでドキッとさせられる。 パーカーを脱げなくてもじもじしていると 「俺が脱がそうか」 とチャックに手が伸びてきて 「大丈夫、自分で脱げる」 と、言って私はパーカーを脱いだ。 あっ 蓮の動きが止まってしまった…… 私を黙ったまま見ている。
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