8章

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長い時間、海にいたから日焼けして腕が真っ赤になっている。 キャミソール型のシフォンワンピースに着替えた私は腕がヒリヒリして痛い。 夕食へ行こうと部屋を出て、エレベーターに乗ると私の肩を蓮が触れる。 「これ痛いだろ?」 「うん……真っ赤だよね」 色白の私は日焼けしても真っ赤になるだけで黒くなることはなくて、たぶん明日になれば痛みも落ち着いてくる。 「水着の痕ついてる」 蓮の指が直線を書くように背中をゆっくりなぞる。 「あ」 体がビクッとしてしまい、思わず変な声が出てしまった。 私の背後から耳元に顔を寄せてきた蓮は 「感じたの?」 ほらそうやって私をからかう。 でも体が一瞬でも反応したのは確かで、日焼けした顔は更に赤くさせられた。 沈むオレンジ色の夕焼けを見ながら、海辺のテラスで食事がくるまでぼんやり海を眺めていた。 あともう少しで地平線の下に隠れてしまう夕日は、ヤシの木を背景に絵に書いたような景色で、自然の美しさに感動していた。 「美優」 「……」 「美優」 「あ、うん?」 「ほら、ご飯きたよ」 「あっ、きれいすぎてつい見入っちゃった」 「俺、ここにいるの忘れてたよね」 「……はい」 だってーきれいすぎて見とれちゃったんだもん。 「ほら、早く食べな」 「うん」 オレンジ色の夕日が反射して美優に染まるのを眺めていたのは俺で…… きれいすぎる美優を思わず携帯で撮ってしまって…… それが後に携帯の待受画面になったのだ。
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