9章

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私の横に座る清水さん。 目をパチパチさせているのは、そのつけ睫毛のせい? 今風の女の子なんだろうけど、ちょっとその睫毛は会社ではどうなんだろう。 しかもさっきから私の説明なんてまったく聞かないで、見ている先の視線は……蓮。 「あの……」 清水さんが上目遣いで私に話し掛けてきた。 「神堂部長って……彼女いますぅ?」 「神堂部長?」 「はい、神堂部長ですっ」 梨花助けて!私なんて言ったらいい? 目で助けを求めると梨花は気付いてくれて 「いるわよ。飛びっきりの美人の彼女」 うっ……飛びっきりだなんて。 「えっーショックですっ」 確かにあの容姿は惹かれちゃうよね。 でもだめ、蓮はだめ。お願いだから近寄らないで。 「その彼女ってこの会社の人ですかぁ?」 「さあ、私はわからないな」 もお、頼むから仕事して。 「フフッ、彼女いてもいいけど」 そう呟いていたなんて私は気付かなかった。 「美優、あの子気を付けた方がいいよ」 「うん……私もそう思ってた」 社員食堂で清水さんの話になって、私もあの子のことを気にしていた。 「あーいう子ってさ、空気読まないタイプよね。で、私が一番かわいいって思ってそう」 「うん……押しが強いみたいな」 「男もあーいうのに騙されてころっといっちゃうのよね」 「……大丈夫かな」 「ま、相手にしないと思うけどね」 「う……ん」 人を疑うのはよくないことなんだけど。 なんか引っ掛かるんだよね、あの子。 その時だった。 相変わらずの黄色い歓声が聞こえて、いつもの二人だろうって思っていたら…… 嘘……どうして?
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