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「よし、終わり。清水さん、今日はもう帰っていいよ」
「はぁい」
うーん。どうしてこう普通に返事できないかな。
年だって私と一つしか変わらないのに。
「美優、今日は真っ直ぐ帰るの?」
「今日は……」
「あ、そっか」
「ごめんね」
「井上さんデートですかぁ?」
ちょっと声大きいよ。
「神堂部長~井上さんこれからデートなんですよぉ。咲も神堂部長とデートしたいですぅ」
その神堂部長とデートなんだよね。本人目の前でやめてほしい。わざわざそれを蓮に言わないでよ。
帰る支度をしながら蓮をちらっと見ると早く帰れって清水さんに言ってて、それなのに尻尾を振った子犬みたく、付きまとっていた。
それをいつまでも見ててもしょうがないので、私は梨花と一緒に会社を出た。
「暑い」
お盆を過ぎたっていうのにまだ暑く、すれ違うサラリーマン達の額には汗が滲んでいる。
梨花は松田さんのマンションに行くらしく、玄関前で別れた。そして一人で待ち合わせの駐車場に向かっている時だった。
「井上さーん」
こ、この声は……
知らん顔したいとこだけど無視することができず、私が振り向くと
「井上さん、待ってくださーい」
息を切らした清水さんが私に駆けよってきた。
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