9章

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「清水さん、どうしたの?」 「これからデートですよね?」 またさっきの続き?なかなか手強いかも。 「残念。デートじゃないよ。真っ直ぐ帰るところ」 「嘘です。さっき鈴木さんと怪しい話してじゃないですかぁ?」 あの時デートとは言ってないはずだよ、清水さん。 「井上さんの彼氏に会ってみたいですっ」 はあ?何この子?いきなり今日、私と初対面したのにどうして蓮に会いたいと? 「ねえ、清水さん。今は会社じゃないんだからプライベートのことはあまり口を挟まない方が……」 「そんなこと言っていんですかぁ?」 え、何、この攻撃的な目。 しかも、何か知っているような確信しているような態度。 まさか…… 「これから神堂部長と会うんですよね?」 どうして知ってるの?どこかで見られてた? あ…… 資料室…… 「何か覚えあります?」 「……」 「井上さんが資料室に行った後、神堂部長追い掛けて行きましたよね?私もその後資料室行ったんです」 やっぱり…… 「神堂部長入って行くのを見たんですけど鍵閉まってて」 「二人の声が聞こえて、それから」 「な、何が目的なの?」 もう隠すことはできない。私と蓮が資料室にいるとこ見られてたんだ。 「私の目的ですかぁ?」 弱味を握っているのよ、という強気な態度で私に言ってくる。 どうしよう…… ばれたら……ばれてしまったら…… 何かいい方法がないか考えたけど、動揺している私には考える余裕などなかった。
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