9章

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さっきからミルクティーが入ったカップを持つ手が微かに震えてる。 蓮にばれないように力を入れて両手でカップを包んだ。 蓮は鋭い人だから。私の不審な動きに絶対気付いてしまう。 「美優」 おどおどすればするほど蓮に怪しまれて、ドキッとしたのを悟られないように 「うん?何?」 「今日の美優なんか変」 「そうかな」 「帰りなんかあった?」 やっぱり感付かれてる。スーツを脱いで、Tシャツとスウエットに取り替えた蓮が出しっぱなしになっていた雑誌を片付けながら聞いてきた。 「え?なんで?ほんとになんにもないってば」 疑いの目でちらっと私を見て、また雑誌を片付け始めた。 リビングがきれいになりソファに座ってテレビのリモコンを取り、チャンネルを変えている。そんな蓮を横目で見ればテレビに集中していた。 「お腹空いたね。私なんか作るね」 蓮の隣にいることが落ち着かなくてソファから立ち上がり、蓮の前を通り過ぎようとした時、私の手首を掴んで 「俺に隠し事できるなんていい度胸だよね」 目を細めて低く出た声音は怒っているように聞こえて、私は掌に汗を滲ませた。 「蓮こそ変だよ。何も隠し事なんてしてないのに疑うのってよくないと思う」 隠そうとすれば蓮にバレたくなくてムキになって……きつく言ってしまってた。 私は手を振り払ってキッチンに行き、水道の水を出しっぱなしにして蓮に気付かれないように鼻を啜った。 こんなに私を心配してくれているのに……ごめんね、蓮。
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