9章

11/22

23658人が本棚に入れています
本棚に追加
/549ページ
美優は何を隠している? 資料室では普通だった、帰る時も何も変わった所はなかった。 でも駐車場で会った時は鼻を赤くして目いっぱい涙を溜めていた。 どれだけ問い詰めても、なんともないの一点張り。 明らかに何かあったと思って聞けば、初めて俺にきつい口調で言ってきた。 俺には言えないことなのか? 俺はそんなに頼りないのか? それとも本当に何もないのか…… いや、絶対おかしい。あんな美優は見たことない。 何も言わない美優に腹を立て、隣の部屋に入って来た。 美優が泣いている。 俺に聞こえないようにしているんだろうけど……鼻を啜る音が聞こえてる。 すぐここを飛び出して、泣くなよって抱き締めてやりたいのに、俺の中の意地が邪魔して体が動かない。 俺に言わないってことは俺に知られたくないのか、一人で解決できることなのか、美優なりに考えてるんだよな。 「わかんねぇ」 不器用な俺はどうしたらいいのかわからなかった。
/549ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23658人が本棚に入れています
本棚に追加