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「うう……」
清水さんの前では絶対泣かないと決めていた私はトイレに駆け込んだと同時に堪えていた涙を流した。
どんなことがあっても私から別れようなんて絶対言わないと思っていたのに。
こんな形で別れを決意するなんて……
でもまだ蓮に言ってない。
それが終わるまでこんなに泣いてられないよね。
そろそろみんなが来る時間。
私は涙を拭いて更衣室に戻り泣き腫らした顔にファンデーションを塗ると、何もなかったように蓮がいる部署へ向かった。
よかった……
蓮は朝一の会議があっていなかった。
それだけで安堵のため息が出る。
何もなかったように隣に座る清水さんは、昨日と変わらない態度で私と梨花に接している。仮面を覆ったその姿は先程の態度と裏腹で余裕たっぷりの笑みでニコニコ笑っている。
弱味を握られたまま掌で踊らされた私は窓際にある蓮のデスクを見ていた。
「美優、なんかあったの?」
私と梨花はいつものように社員食堂に来ていた。
「どうして?」
梨花に悟られないように皿の上のスパゲティをクルクルとフォークで丸めていると
「思い詰めた顔してる」
「そうかな。何もないんだけどな」
「私に言えないこと?」
ほんとに心配そうな顔で梨花は私に聞いた。
「梨花には嘘つけないね。ちょっとね……ケンカしちゃっただけ」
まだ信用していないのか眉を寄せて何か言いたそうで、これ以上問い詰められるのが怖かった。
「そっか。じゃあ早く仲直りしないとね」
「そうだね」
嘘がばれたくない私は梨花と目が合わないようにお皿に視線を向けていた。
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