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外から帰ると、美優のデスクの上はきれいに片付けられていた。
朝も先に会社に行ってしまい、今日は一度も顔を合わせていない。
別々に寝るなんて自分でも大人げないことをしたと思っている。
美優のことになると自分が自分じゃなくなる。
「神堂部長」
呼ばれた方へ振り向くと清水が立っていた。なんで清水がまだ残ってるんだよ。
「神堂部長を待ってたんですっ」
どこから声を出しているのか甘ったるい声で、また俺に近寄ってきて、必ずどこかに触れようとする。
「何か用?」
「一緒にご飯食べに行きませんかぁ?」
俺の腕を掴んで、目をキラキラさせている清水には正直ドキッともしない。男に媚び売って近付いてくるのが見え見え。こんな演技に俺が引っ掛かるとでも思っているのか。
「離してくれない?」
少し睨むように言ったのにビクともしない。
「怒らないで下さぁい。ご飯食べるだけでいいんですぅ」
やばい俺キレそう。
「離せって」
俺は掴まれていた腕を振って清水の手を離させた。
私に落ちないなんて神堂部長ってなかなかね。
フフッ、でも井上さんにフラれるのも知らないで、強気でいるのも今のうちよ。
「私……神堂部長と一緒に行きたかった……だけなんですぅ」
こいつなんか企んでない?
なんでここまで俺に執着する訳?
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