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「清水に脅されたぐらいで別れるなんて言うなよ」
蓮の声が一瞬震えていた。
「ど、どうしてそれを……」
「俺が知らないとでも思った?」
意地悪そうな顔で口角を上げた蓮はいつもの蓮で、それが嬉しくて私はしがみついた。
「あのさ。一人で抱え込むな。もっとお前は俺に甘えていんだよ」
ずっともがいていたことが蓮の優しい言葉で波のように引いていく。
私は一人じゃない。
蓮がいる。
そう思えることは蓮が私を支えてくれているから。
胸の中に突っ掛かっていた物が取れたせいか、私は涙を流していた。
私の頭をゆっくり撫でる蓮の手から温もりが伝わる。
「俺は美優を手放すつもりはないから」
「れ……ん……」
「一人で悩んで苦しんでほんと美優はバカだな」
「うっ……」
「ほら、いつまでも泣かない」
「だって……だって……」
私、蓮と別れなくていいの?ずっと傍にいていいの?
「美優は俺のモノだろ?」
ニカッと蓮が笑うから私までも笑ってしまう。
「蓮……ごめん……なさい」
「泣くなって」
そう言って目尻を下げて優しい眼差しで微笑みかけてくれる。
そんな蓮を愛しくて愛しくて、たまらなく愛しくなった。
何度もしがみついていた腕に私は力を込めた。
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