10章

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「疲れたー。休憩しようよ」 「自分の荷物だろ」 今、私と蓮は引っ越しの荷造りをしている。 あの事件から一ヶ月。 お互いに仕事が忙しくてやっと引っ越しの準備をしているのだ。 忙しいせいもあってか、またしても私の部屋はぐちゃぐちゃで蓮に飽きられてしまった。 「もしかして引っ越して来たら俺が掃除担当?」 「掃除は私がするよ。大丈夫。それは私に任せて」 なんて胸を張ってみたけど…… 「こんな汚い部屋で任せたら恐ろしいことになる」 そうだね。確かにそうだよね。 仕事が忙しくなるといつもこうなってしまうんだよね。一つのことに集中しちゃうと、他のことが見えなくなっちゃうみたい。 「やっぱり美優と一緒に住むのやめようかな」 え、やだ。だって梨花に言っちゃったし、うちの親にも一応伝えたし…… 「やだよ……」 なんだか悲しくなってきた。すごく一緒に住むの楽しみだったんだもん。 「俺が誘ったのにやめるわけないだろ」 「うっ……」 「おいで」 フローリングに胡座をかいていた蓮に近寄ると手を引っ張られて、あっという間に蓮の膝の上に座らされていた。 「美優と一緒に住むの楽しみなんだけど」 蓮は穏やかな口調で目を細めた。 蓮も楽しみにしてるんだね。 「だって毎日美優を抱けるから」 またもこうしてさらっと言うから少し照れてしまって、私は視線を泳がせた。 「毎日は……その……体が……」 なんて言っていいのか仇ふたしていると 「毎日優しくするから大丈夫」 見る見るうちに自分の顔が赤くなっていくのがわかった。こんな甘々な言葉をもらってたら私の心臓破壊しちゃう。 でもそんな蓮が格好良いと思ってしまうんだ。
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