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「蓮、子供みたいだよ」
だから?なんて顔で、私を捕まえたことが満足なのか、上機嫌で満面な笑み浮かべている。
蓮の腕と足によって、胸の前で完全に包囲されている私は、熱気のせいなのか体が火照っていた。
蓮ってこうやって前の彼女とお風呂に入ってたのかな。
ふと思ってしまった。
誰にだって過去があるのは当たり前。わかっているのに過去にまで嫉妬してしまう自分がいる。
私にも凌太がいたし蓮が初めての人ではない。
でもなんだろう……
蓮のこうした行動が前の彼女にもしていたのか、同じことを言っていたのかって気になってしまう。
過去だからって片付けられればいいのに。
「何考えてんの?」
「あ、ううん」
「何?」
いっそのこと聞いてしまえばいいのかな?
「蓮ってさ……」
でも聞いて傷付く話なら聞かない方がいい。
お互い知らなくていいことだってある。
「やっぱりいい」
「そこまで言って言わないつもり?」
「……」
「言わないならここで抱くよ」
またそんな駆け引きをする。そうやっていつもうまく操られる。
「あのね……蓮って前の彼女と……こうやって……」
「入ってないよ」
話の途中で蓮は答えてしまい、私が後ろへ振り向くと一瞬、蓮の瞳が揺れた。
笑い顔ではなく真剣な顔で……
「風呂出てから話す」
そう言って出て行ってしまった。
やっぱり聞かなきゃよかった。
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