10章

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蓮と私は今、ベットにいた。 私が変な疑問を持ったためにお風呂から上がってから蓮はずっと考え事をしている。 いつものように腕枕をしてもらっているけど、どうしてなのか蓮が遠くに感じてしまう。 「蓮さっきの話だけど気にしないで。私が勝手に思っちゃっただけで深い意味はないの」 うんと言って曖昧な返事しか返ってこない。 「もう寝ようよ。明日からまた仕事だし。ねっ」 「美優……」 「うん……?」 「俺を嫌にならない?」 「どうしてそんなこと聞くの?嫌になんてならないよ」 過去を消せればいい。俺はほんとにそう思った。 「美優と出会う前までは来るもの拒まず遊んできた」 「うん……」 「高校からずっと女なんて性欲の処理ができればいいって思ってた。適当に付き合って適当に遊んで別れてきて……大学4年の時付き合ってた女が……」 思い出したくないあの場面が脳裏に浮かぶ。 美優が今どんな顔でどんな気持ちでいるのか不安で天井から目を離せなかった。 「自殺しようとして……」 「え……」 美優が体を起こし不安な表情で顔を上げた。 「俺が風呂場で見つけなかったら死んでた」 「その……彼女は……」 「自殺未遂から半年ぐらいは一緒にいたけど……結局別れてそれっきり会ってない」 美優の顔がだんだん曇っていくのがわかる。 「自殺をしようとした……理由は……何?」 「俺が本気じゃないって遊びで付き合ってるって……」 「蓮は本気じゃなかったの?好きじゃないのに付き合ってたの?」 美優にしたら遊びとか適当なんて信じられないよな。真っ直ぐで純粋な心の美優にはわからない。 でもわからなくていいんだ。美優にはいつまでもその心を持っていてほしいから。 昔の俺が狂ってたんだ。
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