10章

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「今の蓮は……」 「これだけは信じてほしい。美優に会って俺は変わった。美優を好きになって人を大切にすることや愛することを知ったんだ。だから……」 美優の掌が俺の頬に触れ優しい眼差しで俺を見つめて微笑んだ。 「蓮苦しかったよね。ずっと一人で悩んでたんだよね。私、何も知らないで蓮の過去を知ろうとしてごめんね……蓮の愛情は私にちゃんと伝わってるよ」 美優…… 今までの俺がバカだった。もっと早くに美優と出会っていたら俺は変わっていたのか。 「蓮……大好き。どんな蓮でも私は大好きだよ」 目いっぱい涙を溜めて今にも落ちてきそうで、それでも美優は変わらない笑顔を向けてくれる。 「ごめん、美優」 「謝らないで」 華奢な腕でそっと俺を抱き締め、 「私を離さないで」 「絶対離さない」 蓮にそんな過去があったなんて驚いた。今の蓮から想像できなかった。 でもきっと自分のしてきた過去に後悔している。 だから今の蓮がいるんじゃないかって思う。 私は蓮の過去をきちんと受け止めよう。そして未来は二人で作っていけばいい。 誰だって嫌な過去はあるんだから…… 私はずっと蓮をしがみついて、これから続く未来を想像しながら夢の世界へと眠りについて行った。
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