10章

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「う……ん」 ゆっくり目を覚ますと隣に寝息を立てた蓮が気持ちよさそうに眠っていた。 昨日の衝撃的な話が嘘のように、私の体を優しく包み込んだ体温は温かくて、心を穏やかな気持ちにさせてくれる。 これから毎日、朝起きると隣に蓮がいる。そんな幸せがいつまでも続くといいな。私は寝ている蓮に笑顔を見せていた。 「蓮、朝だよ。起きて」 「う……ん……もう少し……」 「だめ。遅刻しちゃう。キャッ」 腕を引っ張られて私はその勢いでベットに倒れ込んだ。 「まだ時間あるからちょっとだけ」 「もう仕事なんだよ。早く起きて」 覆い被された私は身動きができないでいる。でも力を込めて両手で蓮の胸を押し返すと 「それで抵抗してんの?」 「してるもん」 からかうような口調で悪戯っぽく笑うと首筋に顔を近付けた。 チクッと鈍い痛みが走しる。 「そんな所にキスマークつけて美優いやらしい」 「蓮が付けたんでしょ」 こんな目立つ所に付けてどうやって隠したらいいのか…… 私が口を尖らせて怒っても蓮には通用なんてしない。 案の定、蓮は何もなかったような涼しい顔でシャワー浴びてくる、と言って逃げてしまった。 でもね…… 蓮のモノっていう赤い印はちょっと嬉しいんだ。 微かに熱を持つ首筋に触れると、心臓がギュッとなる。それは私が蓮を愛しいと思うからなんだ。
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