11章

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「美優。私さ、今晩春樹の所に泊まるけどいい?」 「へ?」 いい?っていいの?それってあり? 移動の準備を始めた梨花は 「美優もさ、神堂部長呼んだら?」 「わ、私はいいの、いいの」 だって呼べる訳ないでしょ。 松田さんは梨花と課が違うし、オープンな付き合いだからこんなことだってできちゃうけど…… 私と蓮はそうもいかない。 でも内心、羨ましい。人に気にせずできちゃうことが…… 私だって蓮と一緒にいたい。 でも今だってどこで何をしてるかわからない。もしかしたら三浦さんと……そんなことまで考えてしまう。 「よし行くけど一人で大丈夫?」 「もお、子供じゃないんだからね。ほら早く行っておいで」 「ごめん、美優」 「ううん。鍵閉めるから早く」 申し訳なさそうに鞄を持って梨花は出て行き、私は鍵を閉めた。 「ああー」 ベットにダイブして大の字になって天井を見た。 そっか…… 社内恋愛の人達ってこんなことしちゃうんだね。 きっと梨花だけじゃなく、何組のカップルも今日は一緒にお泊まりなのかな。 さっき携帯を見ても蓮からのメールも着信もなかった。 なんだか蓮が遠くの人みたい。 凄く不安が募ってしまって部屋に残された私は携帯と部屋の鍵を持って、部屋を飛び出していた。
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