13章

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今、蓮の車に乗ってます。 蓮のお母さんに会いに行くんです。 もう心臓は破裂するぐらいドキドキで、さっきから落ち着かない。 「そんな緊張するほどじゃないだろ」 蓮は他人事のように言うけど、彼氏の親に会うってのは生半端なもんじゃない。しかもあの大好きなブランド『buttfly』の社長だよ。 第一印象はとっても大事だし、身なりだってそうだし。ちゃっかりbutterflyの服着てきちゃったけど…… とにかく、緊張するんだよ。 やっぱりそれは嫌われたくないからで。 もし蓮と結婚したら…… わーわー 私ったらそんなことまで考えて一人でニヤケちゃった。 「一人でニヤケるのってバカみたいだよ」 「ひどーい」 「ま、そこが可愛いんだけどね」 もお、またそんなこと言うからまた頬が熱い。私は恥ずかしくなって目を泳がせた。 「こ、ここが……」 下から見上げるには首が仰け反るぐらい高いビル。 「行くよ」 「あ、待って」 スタスタと歩いて行く蓮の後を追うと受付の女の子達が蓮に深々と頭を下げる。 さすが社長の子供だけあって、凄い対応。 私、こんな人と付き合ってていいの?場間違い?なんて思ってしまう。 「いる?」 と、受付の女の子に蓮が聞くと、そのポッとした赤い顔は何?蓮を見て目をキラキラさせちゃって……しかも私、さっきとても冷たい視線を浴びたけど、それは気のせい? 「ただいま社長室におります」 「ありがとう」 蓮は笑顔でお礼を告げれば、受付の女の子達はすでにノックアウト状態で…… そんなことさえ焼きもち妬いちゃう私はまだ子供なのかな。 「美優、こっち」 「あ、うん」 差し伸べられた手を握るとギュッと握り返してくれる手に、少しだけ焼きもちが薄れてく。 私って単純なんだね。
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