13章

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エレベーターで20階まで上がると、そこは社長室しかなくて、心臓がドキドキとうるさくなる。 「蓮どうしよう」 「何が?」 「緊張する」 ククッと笑った蓮は 「そこまで緊張しなくていいって。きっと美優が想像してるのと違うよ」 私の想像はきれいでキャリアウーマン的でサバサバしたイメージなんだけど……違うのかな? ドアの前まで来たらノックもせず蓮は当たり前のように入っていく。 後ろの方にちょこんと付いて行くと 「あら、蓮。来たの?もしかして美優ちゃん?」 恥ずかしながら顔を上げて見ると いきなり走ってきて、しかも私にしがみつき、 「かわいい。お人形さんみたい」 く、苦しい。 「美優苦しがってるって」 「あら、ごめんなさいね」 離れたお母さんを見ると……若い。ほんとにお母さん?と思うほど若くて、しかも超美人。 スタイル抜群で胸まである黒髪のストレート。 「は、はじめまして。井上美優です」 慌てて頭を下げると 「蓮の母です。美優ちゃんよろしくね」 と、満面の笑みで微笑む蓮のお母さんは笑った顔が蓮に似ていて、とても優しそうなお母さんだった。 「蓮ったらね。ここに来るたび美優ちゃんのこと好きだのかわいいだのってほんとに美優ちゃんのこと大好きでね。同棲するんだって言いに来た時なんてもう機嫌よくって。あんな蓮を見たのなんて初めてよ」 「余計なこと言うなって」 蓮は頬を赤く染めてそっぽを向いて照れている。 「蓮、わがまま言ってない?」 「はい、言ってないです」 「ほんと?蓮に泣かされたらすぐ私に言ってね」 「はい」 「こんなに美優ちゃんがかわいいなんて思わなかったわ。これだもん蓮もほっとけないわよね、蓮」 「うるせー」 「遠慮しないでここに遊びに来て」 「はい。ありがとうございます」
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