14章

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会社から帰宅して、風呂も二人で入って、ソファで美優の毛先を弄っていたら…… 突然、美優が不思議なことを言い出した。 いつものように体育座りをしてミルクティーの入ったカップを両手で持ちながら 「金曜日なんだけど高杉くんと飲みに行っていい?」 はあ?美優って天然?いや、天然じゃないよな。鈍感だ。 どうして美優が高杉と飲みに行かないといけないのか? 理由を聞けば普通に躊躇いもなく話し、事情はわかった。 だからって普通高杉と飲みに行くか? そんなの下心丸見えだろ。 しかも美優が俺に申し訳ないって思っていない所がこれまた恐ろしい。 またいつもの甘え作戦なのか上目遣いで 「だめ?」 なんて言われたら、バカな俺はだめだと言えない。 俺は念のため、場所と時間を聞けばあっさりと教えてくれて、どんだけ警戒心ないんだよ。 隠されるより言ってくれたからそれはそれで嬉しいんだけど…… 彼氏いるのに行くってのも納得いかない。でも……そこまで束縛していいのか悩む。 美優に意識がなくても問題は高杉。 悪い奴でないと思う。多分。 ただ、あいつは俺と同類で美優が好きだ。 そんな奴と二人っきりなんてやっぱり心配だ。 でも行かせなければ心が狭い男だと美優は思うか? 「いいよ、言っても」 「ほんと?」 「でも約束がある」 「約束?」 「飲みすぎないこと。帰りは迎えに行くから絶対連絡すること。なるべく早く帰宅すること。あとは」 「えー、まだあるの?」 またその上目遣い。無意識なのはわかっていながらその顔に弱い。 「とにかく同期でも男なんだから油断するな」 「高杉くんはそんなんじゃ、ンッ」 高杉、高杉ってうるさいから口を塞いでやれば、艶っぽい声を上げてもう俺に逆らえない。 そのままソファに寝かせれば、目をうっとりさせて服の下から手を忍ばせば甘い声で啼く。 そんな美優がかわいくて俺は仕方がないんだ。
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