14章

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週末金曜日、朝からバタバタとオフィスは忙しくみんな動き回っていた。 私は蓮に頼まれてまた資料を探しに資料室に来ている。 「あ、電気付くようになってる」 薄暗かった資料室は明るくなって、資料も見やすくなっていた。でも相変わらずほこりっぽいこの部屋はなんとなく鼻がムズムズする。 「これって確かあっちにあったよね」 一番奥まで進み、私より背の高い棚に手を伸ばしてみたけど、これがあともう少しなのに手が届かない。 周りをキョロキョロして脚立を探す。 「あった」 ポツンと取り残された脚立を発見し、それを持って棚の前に立つと ガチャ とドアが開く音が聞こえた。 私は誰が入ってきたのか気にしないで脚立に昇ったら 「取れないの?」 後ろを見なくたって蓮だってすぐにわかった。 私より先に手を伸ばして、あっさりと資料を取ってしまう。 「ありがと」 そう言ったと同時に私を抱えて脚立から降ろしてくれた。 今日は高杉くんと飲みに行く日。蓮に言ったら条件付きだけど許してくれた。 でもやっぱり申し訳ない気持ちで高杉くんに連絡はしたけど今でもほんとに行っていいのか揺らいでいた。 「蓮……今日なんだけど」 「高杉と飲みに行くこと?」 「……うん。私やっぱり」 「遠慮しないで言っておいで。俺の事は気にしなくていい」 「でも……」 「たまに息抜きしておいで」 怒ってる様子はまったく蓮から感じられなくて、逆に笑顔を見せてくれるから、なんだか余計戸惑ってしまう。 「じゃ……行って来るね。晩ごはんは……」 「適当に食べるから心配しなくていいから」 「うん……」 「でもこれは食べさせてもらう」 「ンッ」 少しだけ口を開けた蓮が私の唇を食べるように重ね、それからはもう蓮の思うままに口内を乱された。
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