14章

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「え……いや……あのそれは……」 「誰?」 「……」 「会社の人だろう?」 高杉くんの攻撃が始まり、とにかく次の言葉を吐くために誤魔化す言葉を探した。 「あの時泣いてたのは……」 向かいに座る高杉くんは目を逸らすことなく私を見続ける。 「こんばんは」 と高杉くんが突然視線をずらし私の後ろに目をやった。 「こんばんは」 返ってきた挨拶の声は…… 恐る恐る後ろを向くと、そこには蓮と松田さんが…… ど、どうしてここに!? 「席満員みたいだな。ここ座っていいか?」 ちょっと、蓮。ここって一緒に?相席しちゃうってこと? 高杉くんは周りをぐるりと見渡してひきつった顔で 「いいですよ」 と、断れなかったのか了解した。 当たり前のように私の隣に座った蓮。 どうしてここに?って聞きたい所だけど、聞ける訳ないよね…… 「蓮、何飲む?」 松田さんが蓮に尋ねると蓮がビールと言って、店員さんを呼ぶと 「蓮……?」 と高杉くんが不思議そうに呟いた。 「高杉くんどうしたの?」 疑問に思って聞いたけど、高杉くんは私の質問に答えないで蓮に問いかけた。 「神堂部長って蓮って言うんですか?」 「そうだけど」 松田さんと蓮が目を合わせて少し首を傾げた。 何か確信したのか高杉くんは一人で納得したような顔をした。
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