14章

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「美優、ご飯できたよ」 「う……ん」 あ、いい匂いがする。コーヒーを淹れた匂いとパンの匂い。 「あ!私、朝ごはん作らなきゃ」 ガバッと勢いよく起きれば私は全裸で…… 「朝から誘ってんの?」 「うわっ」 慌てて布団で胸を隠す。 昨日の余韻が下腹部にじんわりと鈍い痛みを残こしていて、お風呂場の行為を思い出して恥ずかしくなる。 蓮がベットに座ってそんな私を見てからかうように笑っていた。 「早く着替えてご飯食べよう」 そう言った蓮は私の頭をポンポンと叩き寝室を出て行った。 私より先に起きた蓮が朝食を作ってくれたんだ…… 日曜日だからこそゆっくり蓮を寝かせてあげたい。だから私が先に起きて作らなきゃいけないのに。 「はあ……やってしまった」 「おいしそう」 「早く食べな」 「うん」 野菜サラダにフレンチトースト。目玉焼きにオニオンスープ。 完璧な組み合わせ。 私の大雑把な料理に比べ、蓮の性格からなのかきれいに並べてある。 料理を得意としている私でも自信をなくしちゃう。 今は掃除も食事も分担してやっている。 一番苦手とする掃除はほとんど蓮がやってくれてるけど……たまには私だってやる。 でもこの間…… 朝寝坊して自分の部屋を脱ぎっぱなしにしていて、帰って来てからもちょっと面倒でそのままにしていたら…… 「美優ちょっと」 と、怒っているオーラが出ていて、蓮の後を付いて行けば、私の部屋の前。 あ、片付けてない。 気付いた時はもう遅く…… 「何も言わなくてもわかるよな?」 「はい」 「じゃあ、今から片付けて。片付けなかったら今日一緒に寝ないから」 「は、はい。今すぐします」 ってな感じで蓮に怒られた。 バレないよね、と思ったけど甘かった。 何をやっても連には敵わない。 蓮は私の数十倍、数百倍、上手だ。
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