15章

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明後日はクリスマスイブ。 蓮と初めて過ごすクリスマスイブなのに…… 蓮が多忙で最近話をしていない。 マンションには帰って来るけどそれは私が寝た後で、朝も目を覚ませば、ベットに残り香だけ残してもういない。 会社でも外回りのため不在が多く私と蓮はすれ違い生活だった。 「梨花はクリスマスイブは松田さんと一緒?」 「うん、そうだけど。美優だって……うわっ、その暗い顔見ると違うみたいだね」 「うん……」 「連絡はしてるの?」 「ううん」 最近はあまりしていない…… 忙しいからどのタイミングで電話をしていいのかわからなくて…… 「ちゃんと考えてくれてるって」 「うん……」 でもね、なんか胸騒ぎがして、それが何なのか自分でもわからなくて…… ただ嫌な予感がして。 なるべく考えないようにはしていた。 「今日も遅いのかな……」 帰宅してから家のことはすべて終わってしまい、他にすることがなくて、ただぼっーとしている。 いつもなら隣に蓮がいることが当たり前だったのに、ポカンと胸に穴が開いたみたいに空白の時間だけが過ぎていく。 ピンポン 部屋のインターホンが鳴り、誰が来たのか液晶画面を見てみると…… 「あれ?誰もいない?」 人影がない。 「あっ」 誰かの影が移り、突然現れた人は……女の人だった。 小さい画面だからはっきり顔がわからないけどロングヘアのように見える。 ピンポン 二度もインターホンが鳴ったけど、出てはいけないような気がして、私は出るのをやめた。 暫くすると去って行くのが見えて女の人は帰っていったみたいだ。 蓮のお母さんではない。 じゃあ、今の人は誰?
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