15章

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ほんとに久しぶりの時間。 すれ違っていた時間が埋もれていく。 お風呂上がりの冷たいミルクティーを味わいながら、二人でテレビを見ている時に 「さっき女の人が来てたよ」 私の言葉に蓮の眉が微かに動いた。 「会ったの?」 「ううん。インターホンで見ただけだよ。ストレートのロングヘアに見えたけど……」 一瞬、蓮の瞳が揺らいだのを私は見逃さなかった。 「知ってる人?」 「いや、知らない」 珍しく蓮が動揺しているような気がして…… それに私に目を向けてくれない。知らないって言ったけど、もしかしたら心当たりがあるのかもしれない。 でも蓮は話したくないのか、それ以上聞いてこない。 それなら私も聞くのはやめておこう。 「明日も早いから寝よう」 「あ、うん。そうだね」 先に蓮は寝室に行ってしまった。 いつもならこんなことはないのに。 さっきまで普通だったのに来客があったことを伝えてから蓮は何かを考えているように見える。 でもベットに行くとさっきまでの蓮と違って明るく笑って腕枕の準備をしてくれていた。 私の気のせいかな…… その日、蓮はいつもより激しく、何かを忘れるかのように私を抱いた。ときより見せる曇った顔に私は疑問をいだいていた。
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