15章

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「もう行ったんだ……」 朝起きるとすでに蓮は隣から消えていた。 蓮の寝ていた場所に手を滑らすと、さっきまでいた証しにまだそこが温かい。 昨日の夜は何度もイカされ、もう無理だと言っているのに蓮はやめてくれず、最後は気を失いそのまま寝てしまった。 「準備しなくちゃ」 私は明日のことが楽しみで起きてすぐなのに頭の中がクリスマスでいっぱい。 明日早く帰って来ると言ってくれた。 「何作ろうかな」 ケーキを買ってくるって言ってたから…… ローストビーフにチキンも用意しなくちゃ。 あ、シャンパンも買わなきゃね。 明日が待ち遠しくって、プレゼントを待つ子供のみたいな気分で蓮が料理を見て驚く顔がみたい、そう私は思っていた。 「明日ね、ケーキ買ってきてくれるの」 社員食堂でニコニコ顔の私は嬉しくって梨花に報告していた。 「ふーん。この間の暗い顔が嘘みたいだね」 「うん。だって嬉しいんだもん。でね、料理を作ろうと思うんだけど、何作ったらいい?」 自分なりに決めたメニューを言うと、梨花はあれこれたくさん名乗り上げてくれて、 「り、梨花そんなに私作れないよ」 「料理お得意の美優ならできるんじゃない?」 うっ……そうだけど、意外に私より蓮の方が得意なんだよな…… 「愛情こもってればおいしいって食べてくれるって」 「うん」 あ…… 「プレゼント買ってない!」 クリスマスと言えばプレゼントなのに料理のことばかり考えていて、すっかり忘れていた。 「梨花、何買ったの?」 「フフッ、聞きたい?」 興味津々の私はテーブルに頬杖突いて、うん、うんと梨花が言うのを待っていた。
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