15章

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焦らされて出て来た言葉は…… 「枕よ」 「はあ?ま、枕?」 まさかの言葉に唖然としてしまい開いた口が塞がらない。 「どう?いいでしょ」 「あの……枕って寝る時に使う枕だよね?」 「当たり前でしょ。その他にどんな枕があるのよ」 「そうだけど……ちょっと意外だったかなって」 「そう?だってね、いつも枕を占領して朝起きたら私、枕ないのよ。頭にきたからあいつ専用の枕を買ってあげたの。これで一人一個になるでしょ」 そんな理由で…… 松田さんがお気の毒に見えてしまうのは私だけだろうか…… 私は何にしようかな。 帰り買い物行ってみようっと。 とにかく早く仕事終わらせてデパートが閉まる前に行かなくちゃ。 さすがクリスマス。 街はクリスマスカラーの赤と緑で彩られ、大小それぞれ点灯しているクリスマスツリー。街はすっかりクリスマスモード。 私はメンズ売り場に来ていた。 蓮に似合う服を探すけど、これだと思う物に辿り着けない。 一階にブランドショップがあったからそっちに行ってみようかな…… 蓮の好きなブランドショップに入るとどれもこれも高級品で私の手に届くものが数少なく…… でも見た瞬間、これだ!と思った物がショーケースの中にあって、私は慌てて店員さんを呼んだ。 「あの、これ……これ見せて下さい」 「こちらですね?ただいま、お出しします」 ショーケースを開ける店員さんの手をじっと見つめ、取り出してくれた物はキーケース。 男らしいデザインであまり派手ではなく、シンプルなデザイン。 この間、古くなって壊れてきた、と蓮が言っていたのを思い出して、これを見つけた時は、絶対喜びそうと思った。 この値段なら私でも買える。 「これ下さい」 「プレゼントですか?」 「はい」 なんだかその言葉に照れてしまい私は少しニヤけた顔で返事をした。
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