16章

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「神堂です。初めまして。ご挨拶にお伺いしなくて申し訳ございません。今日美優さんそちらへ帰る予定だったのですが仕事が片付きまして今一緒にいます。こちらで過ごさせてもらってもよろしいでしょうか」 会社での蓮を見ているみたいでさっきまで怒っていた蓮とは大違いで、丁寧な言葉でお母さんに聞いている。 『あら、神堂さん』 お母さんの声が携帯から漏れてるよ。 「はい、ありがとうございます。日を改めましてお伺いします」 話し終わり携帯を切ると、はいと携帯を渡されて…… お母さんが余計なこと言ったんじゃないかって恐る恐る蓮を覗くと 「美優をよろしくだって」 「お母さん怒ってなかった?」 「別に普通。正月休みに来いって言ってた」 「えっー、私の家に?」 「そう。一度は顔を出さないとって思ってたから。新年の挨拶に行くことにした」 そんなお正月だなんて、すぐ勝手に決めちゃうんだから。 「着いたよ。早く降りて」 少し眠気が襲って来た頃、蓮に急かされ車を降りた。 そして降りたそこは…… 「わあー」 私の目の前に現れたのはテレビや雑誌で紹介されていた公園のイルミネーションだった。 「きれ……い」 白と青で飾られた電球は雪が降る背景にぴったりで、雪のせいなのか電球は点滅していないのにきらきら揺れて点滅しているかのように輝いていた。 「どう?」 「凄く……凄くきれい」 この間、梨花と雑誌を見て行きたいねって言っていたのがこの公園だった。まさかここに連れて来てもらえるなんて…… 私は感動のあまり胸がいっぱいになってしまって…… じんわりと涙が視界をぼかした。 「またすぐ泣く」 冷たい頬を蓮が両手で挟むと掌から伝わる温度がとても暖かくて心が満たされる。 「鼻真っ赤」 茶化すように笑った蓮の笑顔が余計に私の涙腺を緩ませて…… 息がかかりそうなほど近くに蓮が接近して…… 視線を蓮の唇に移すと……二人の唇が重なっていた。
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