16章

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ゆっくり離れていく蓮の唇。 離れてしまった唇がなんだか寂しくて…… 名残惜しそうに眉を下げれば、 「まだキス足りない?」 って蓮に見透かれていて…… それが恥ずかしくって顔を赤くすると、 チュッ と、音を立てて不意討ちのキスをしてくれて、更に私は顔を真っ赤にさせた。 「満足?」 「……うん」 「やけに素直だね」 こうやって一緒に過ごせると思っていなかったから…… すごく嬉しくて甘えたくて…… 私は蓮の腕にギュッとしがみついて頬を擦り寄せた。 ほらまた私の心が蓮いっぱいになって好きが溢れている。 早く帰って蓮にいっぱい抱き締めてもらいたい。 もっとたくさん蓮で満たされたい。 マンションに戻る前にコンビニに寄って、クリスマスだけどいつも食べているようなお弁当を買って…… 私はもう気にしていないのに蓮はそうじゃないみたいで、どこか申し訳なさそうにしていて。 「蓮、シャンパンも買おう。せっかくのクリスマスなんだから楽しもうよ、ねっ」 「ああ」 ほらやっぱりいつもの蓮じゃない。 たくさんの食べ物や飲み物を蓮に買ってもらい、それをレジのお兄さんから受け取ると、会計を済ませた蓮は重い荷物をさりげなく私の手から奪って持ってくれて…… 「ありがと」 と言えば口元を緩めて笑ってくれる。 ちょっとしたことなんだけど私を女の子として扱ってくれる。 そのたびに胸がキュンとなる。 一歩後ろを歩いていた私は蓮の後ろ姿に見惚れていた。
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