17章

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「ほら蓮、アーンして」 「自分で食べれるって」 「だーめ」 一度やってみたいと思っていたことを実行してみようと思って…… 蓮に私のフォークでケーキ食べさせたくて口を開けてもらおうと必死なんだけど…… 耳を赤くして蓮は恥ずかしいのかそっぽを向いて、こっちを見てくれない。 今日は緩い蓮が見たくて、たまに私が強気なのもいいかなって。 「アーン」 諦めたのか渋々こっちを見てくれて、私はフォークを蓮の口へ運んだ。 「おいしい?」 「甘い」 「ケーキだもん甘いよ」 「もう一口食べる?」 「いらない」 「どうして?私が食べさせてあげるから」 俺が何も言えないことを知ってか今日の美優はイルミネーションを見に行った時から積極的で甘え攻撃が続いている。 しかもまたその上目遣い。 日に日に成長しやがる。 美優のその潤んだ目が弱点だということに気付いたのか? それともまた無意識なのか? せがむ美優に俺は仕方なくケーキを食べれば、満面な笑み浮かべて満足そうにしている。 たかがこんなことぐらいで喜ぶんだからな。まだまだ美優は子供だ。 でも一度やるとまた繰り返すから、それを拒否してみればみるみるうちに顔が暗くなる。 そんな百面相の美優がかわいくて俺の中の意地悪が暴走しだす。
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