17章

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「う……ん」 カーテンの隙間から差し込む日差しがちょうど私に当たって、眩しい私は手を目の前でかざすと、 「うん?あれ?えっ!」 左手の薬指に見たことがない指輪が…… どう見ても私のじゃなくて、指輪をした記憶もない…… 「蓮!わ、私の指に指輪が」 「朝からうるさいって。そんな大声出さなくても聞こえてるって」 「だってほら見てよ、指輪」 私は手の甲を蓮にほらほらと見せた。 「やっぱりこっちの方が似合ってる」 「もしかして蓮が言ってたプレゼントって……」 「これが俺からのクリスマスプレゼント」 指輪がプレゼントだったなんて嬉しくって涙が勝手に出てきちゃう。しかも寝ている間に付けてくれたなんて…… 「れ……ん……」 「ほんとに美優は泣き虫だな」 「もらっていいの?」 蓮は口角を上げて微笑んだ。 「美優に似合いそうなのが2つあってどっちにするか悩んだけど……やっぱりこれにしてよかった」 私が寝てる間に付けてくれた指輪はピンクダイヤモンドが付いたかわいらしい指輪で。 きっと照れ臭そうにこの指輪を選んで買ったんだろうな…… そんな姿を想像すると頬が緩む。 「蓮、ありがと」 「次は婚約指輪かな」 なんてそっぽを向いて呟いた蓮に私は、チュッとリップ音を鳴らしてキスをすると 「また抱かれたい?」 ってお返しのキスをもらって…… おでことおでこをふっつけてプッと二人で笑った。 蓮が選んでくれた指輪だから…… ずっと大切にするよ。 私はまだ慣れない指輪にそっと触れていた。
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