18章

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クリスマスも過ぎて、あっという間に会社はお正月休みに入った。 そして今日は大晦日。 蓮も私も大晦日はお互い実家に帰らないで年が明けてから帰ることにした。 だから二人だけで年を越す。 朝から私達は大掃除に追われていて…… 「はあ?これで掃除したって?やり直し」 自分的にはきれいにしたつもりなのに厳しい蓮は私の部屋を見て呆れ返ったのか、もう一度やるように檄を飛ばした。 「きれいなのにな……」 「何、ぶつぶつ言ってんの?」 「いえ、何も言ってません」 「コートとか置きっぱなし。これハンガーに掛けてクローゼットに入れたりできるよね?」 「はい」 「洗濯物は洗濯機の横にあるバスケットに入れて」 「はい」 「テーブルの上の雑誌は本棚」 「はい」 次から次と蓮の指示が入り、私は急いで動き回ると 「ククッ」 と蓮はお腹を押さえて笑っていて…… 「美優ってリスみたい」 「ひっどい。蓮が命令するから従ってるだけでしょ」 「さっきからその動く姿が……ククッ」 「もお、そんなに笑わないでよ」 私が頬っぺたを膨らませると 「ごめんごめん」 って反省なんてしてないくせに。 ほらまだ笑ってる。 「蓮なんて嫌い」 雑誌を本棚に片付けながら口を尖らせているとちょこんと横に来て、 「ごめん」 「片付けてるんだから避けてよ」 「そんな怒らなくても」 「怒ってない」 「じゃあ嫌いって言うな」 じろっと横目で見れば拗ねた子供みたいにいじけてるし。 「蓮が私をバカにするからだよ」 「嫌いって言われたらかなりヘコむ」 あーもうそうやって弱い部分を見せられたら、怒っていた私がバカみたい。 「嫌いじゃないよ」 「嫌いじゃないなら何?」 「だから……好き……うわっ」 いきなり後ろから抱きついてくるから驚いて本が落下してしまって…… 「もお、突然抱きつかないでよ。せっかく片付けてたのに」 「美優が悪い」 「ンッ」 くるっと回転させられた私はもんくの一つも言えずに蓮の口によって封じ込まれてしまい…… 蓮のキスの攻撃に敗北した私は背中に手を回していた。
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