18章

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結局……雑用係として使われた私は、切る、洗うだけの仕事で味付けは蓮がしてくれて。 勿論、センスのない私は盛り付けもさせてもらえず…… その盛り付けをしている隙に、切れ端をつまみ食いをして蓮に怒られた。 何をやっても蓮に敵わない。 蓮の彼女として、私はどうなんだろう。 きっとこんな私に蓮は幻滅しているんだろうな。 テーブルに並べられた料理を見ながら蓮に聞こえないように小さな溜め息を付くと 「なんでため息?」 「え……いや、なんともない」 「言いたいことあるなら言って。さっきから少し変だけど」 「……」 私のグラスにビールを注いでくれて、私も蓮のグラスにと思って手を出すと 「いいから思ってること言って。言わないと食べさせないから」 って蓮は自分のグラスにビールを注いでしまった。 「隠し事?」 「ううん」 「じゃあ何」 そっか私さっきから変なんだ…… 蓮はちゃんと私を見ててくれてるんだね。 「話して」 ビールの泡がゆっくり少なくなるのを眺めながら…… そして黙って私を見つめる蓮を見て…… 「蓮は……私のどこが好きなの?どうして私なの?」 少しだけ蓮の眉がピクッと動いて、テーブルの向こう側にいた蓮は私の隣に移動してきてソファに腰掛けた。 こんなこと聞いたから怒っているのかな…… 蓮は呆れ顔で大きなため息をついた。
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