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「あのさ。それってどう考えたら今ここで出てくるの?」
「……」
どう考えたらって言われても……それは……自分があまりにもだめだめで……
蓮に釣り合わないって思って……
「俺が美優のどこが好きだなんてほんとに言っていい訳?」
「う……ん」
「ふーん。じゃ、言う。よく聞いておいて」
私は唾をゴクンと飲んで蓮の言葉に耳を傾けた。
「まず、一生懸命な所。そして頑張り屋の所。それから鈍感だけど……ま、そこが憎めない所、あとは……片付けられないのは……許すとして」
「もういいです」
「まだあるけど聞きたくない?」
「だって聞いてるだけで恥ずかしい」
「だからさ……どこが好きとかってないんだよ。ただ純粋に美優が好きでどこが好きかなんて言ってたらきりがない」
「うん……」
「だらしなくても、鈍感でも俺はどんな美優でも好き。だから、自分に自信持っていいから」
私の不安わかってたの……?
バカだな。また一人で暴走して考え込んで……
じわじわって涙腺が緩んできて鼻を啜れば、
「俺にとって美優は誰よりもかわいい」
蓮は髪に手を入れ私を引き寄せ胸に押し付けた。
「俺が一目惚れして先に美優を好きになったこと忘れないでほしい」
「うっ……れ……ん」
「もう今年が終わるっていうのに最後の日まで泣くのかよ」
「ごめん……なさい」
何度も私の頭を優しく撫でてくれて、それがすごく心地良くて……
「わかったならもう泣かない」
「だって……だって勝手に涙が、ンッ」
泣き止まない私に蓮は口を塞いで、溶ろけそうなほど甘いキスをくれて……
「ほんと美優って子供みたいだ」
フッて蓮は鼻で笑って。
「ビールの泡なくなってる」
そう言ってグラスを取ってくれて、私は泣き笑いで蓮のグラスに乾杯をすると、
「バカ美優」
って笑っていて……
こんな私だけど好きだと言ってくれて、バカ扱いするけど大事にしてくれて……
どんな私でも受け止めてくれる蓮が私も大好きなんだ。
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