18章

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「どうこれ?」 「うちなんて一般庶民なんだからそんな服装にこだわらなくていいんだよ」 「美優の親に会うんだからチャラチャラしてられない」 「いつもの格好でいいんだってば」 今日は、私の実家に蓮と一緒に行くことになっていて、朝起きてからずっーと何を着ていくか悩んでるみたい。 だから朝から蓮は落ち着かなくて…… ほんとにうちは一般庶民で堅くならなくても全然平気なのに。 珍しく焦る蓮を見れて私はちょっと嬉しい。 「スーツにしとく?」 「新年早々スーツだなんて余計変だよ」 「そうか……」 「だからね。いつもの蓮でいいの。その方が蓮らしい」 腕を組んで顎に手を置いて、難しい顔で考え込んでて…… 「蓮」 「何?」 「何着ても蓮は蓮なんだからね」 「あ……」 アドバイスになったのかわからないけど…… もうダッシュで自分の部屋に駆け込んだ蓮は…… またすぐ戻ってきて…… ジーンズにTシャツの上にカーディガンを着ていた。 「うん。いつもの蓮だね」 納得したのかソファに座ると 「こういうの初めてだから」 「フフっ、会社ではあんなにクールな蓮なのにね」 「スーツ着ると精神的に気合いが入るっていうか……でもこう私服だと落ち着かない」 「会社の蓮と家の蓮だったら、私はここにいる蓮の方が好きかな」 会社の蓮はつんけんしていて怖い。だから家にいる蓮の方がいい。 「でも今日の俺はテンパってる。やばいぐらい緊張してる」 ほんとに今日の蓮はらしくなくって。 でも私も蓮のお母さんに会うまでは緊張したから、蓮が緊張するのもわかるんだけど…… フフッ、こんな蓮もかわいい。
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