18章

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蓮の車に乗って、向かう先は私の実家。 途中でお土産に串団子を買ったんだけど、蓮ったら大福やらモナカやらいろんな物買うって言い出して。 そんなに食べきれないからって一応断ったんだけど…… ケーキはいらない?とか、そんなに甘い物ばかりあってもね。 「あ、ここだよ。蓮の車はお父さんの車の横に止めて」 車を駐車場に止めて、荷物を持ちドアを開けようとした。 「待って、美優」 「うん?」 ふっーって深呼吸した蓮は 「よし、行くぞ」 って…… ほんとに緊張してるみたいで、なんだか連れてきてよかったのだろうか。でも挨拶に行きたいって言ったのは蓮だった。 「ただいま」 先に私が玄関ドアを開けるとリビングから走ってくる音が聞こえて、 「おかえり」 と笑顔でお母さんは迎えてくれて、 「初めまして、神堂です」 「今日は来てくれてありがとう。いつも美優がお世話になってます。ウフッ」 やだ、お母さんったら。かわいこぶっちゃって。 「いえ、僕の方こそお世話になってます。伺うのが遅くなってしまい申し訳ございません」 あ、蓮が神堂部長になってる。スーツ着てないからちょっと違和感あるけど。 「ほらほら蓮入って」 「失礼します」 蓮がブーツを揃えて入る姿をお母さんが見ていて、そっと私の耳元で、 「かなりのイケメンね。私のタイプよ」 なんて私にお母さんはウインクなんかしちゃって。 「お母さんったら」 「こんな素敵な人が美優の彼氏だなんてお母さんまで嬉しくなっちゃう」 蓮は聞こえていたのか爽やかな笑顔でニコッと笑った。 その笑顔が眩しくて私もお母さんもクラッとしてしまって。 リビングに入れば新聞を読んでいたお父さんがチラッとこっちを見て、それに気付いた蓮が、 「初めまして、神堂です」 と、深々と頭を下げた。 ゴホンと咳払いをしたお父さんが新聞を置き、その場に立ち上がった。 お父さん……眉間にしわが……怖いよ、その顔。
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