18章

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キッチンに行ったお母さんを横目にお父さんの明らかに違う顔が気になって、私もキッチンへ向かった。 横に立つお母さんに小さな声で 「お父さんの態度が急に変わったんだけど」 フフッと肩を揺らしてお母さんは笑っていて。 「あれでも凄く緊張してるのよ、お父さん。でもね、神堂さんの熱い言葉に安心して気が抜けたのよ」 「だからって最初あんなに怖い顔してたのに急にニコニコしちゃってさ」 「神堂さんが美優を大切にしているのがお父さんわかったのよ」 「そうなのかな」 「そうよ」 それなら最初から笑っててくれればいいのに。 ブツブツ文句を言いながらリビングに行くと…… お父さんのバカでかい声が聞こえて見てみれば…… 「美優は昔から片付けができなくて、部屋なんて足の踏み場もないぐらいでな」 「うわわっ、何言ってるの。余計なこと言わないで」 お父さん、顔が真っ赤。すでに酔っちゃってる? 「美優さんは今でも片付けが苦手ですよ」 「ちょっと蓮まで」 「神堂くんも大変だな」 あーもお。私の話で盛り上がらないでよ。 でも……さっきはどうなるかと思ったけど。 お父さんと蓮が笑って会話しているのを見て内心ほっとした。 蓮のこと気に入らなかったらどうしようって思ってたから。 蓮も打ち解けてくれてるみたいだし…… 「美優の結婚式はハワイがいいな、神堂くん」 「いいですね」 はあ…… 仲良くしゃべってくれるのは嬉しいけど、お父さん……暴走してるよ。 結婚なんて今すぐする訳じゃないんだよ。 私はいつでもいいけど……きっと蓮には蓮の考えがあるから。 私はそれを待つだけ。 私の小さい頃の夢はお嫁さんだったけ…… 蓮と結婚なんて…… きゃー考えただけでニヤけてくる。 「美優、また妄想?」 フフッ、妄想なんかじゃないよ。私の夢を想像してただけなんだよ。
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