19章

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会社に来ると赤の他人になってしまう寂しさと、今朝の失敗ですっかり落ち込んでいた私に、 「あら?今日は優れない顔だね」 って梨花が声を掛けてきて…… 「ねぇ?松田さんってどんな人?」 はあ?っていう顔をした梨花は驚いた後で笑いながら、 「どんな人って見たまんま」 うーん。見たまんまか…… 「またなんかあったの?」 「なんかというか……」 「はいはい、昼休み聞いてあげるから今はこれやっちゃうよ」 数十枚の請求書を梨花から受け取って、パラパラと捲りながら松田さんと蓮の違いを考えていた。 「で、どうした訳?」 「朝ね……」 携帯をなくしたことを説明すると、 「それは美優らしいね」 なんてゲラゲラ梨花は笑っちゃって。 「で、怒られたの?」 「ううん。たぶん……また呆れちゃったんだと思う」 「春樹とあいつは親友だけど性格はまるっきり違うからね。春樹ならそうだな……私より慌てて探しそう。たぶん、あいつみたく冷静な判断はできないかな」 「松田さんって爽やかしてるよね」 「うんまず怒らない。逆に私がいつも怒ってる」 もしかして蓮とは梨花は似ているのかも…… 確かに、松田さんは俺様っていうよりほんわかしていて、梨花の方が強そうだ。 「怒ってないならあんまり気にしなくていんじゃない?」 「そうだけど……自分のこういう所が嫌でね」 「あいつは好きで一緒にいるんだからいんだって。ほんと美優は考えすぎなんだから」 「う……ん」 なんか都合良くまとめられたような。 話はいつの間にか違う話題になっていて。 さっきからなんだか汗ばんでいて、頭がユラユラしている。 風邪でも引いたのかな…… 帰ったら薬飲んでおこう。 私達は食事を済ませて、オフィスに戻って、また午後からの仕事に追われていた。
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