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ガチャ
「ただいま」
もう少しで日付が変わる寸前で蓮が小さな声でリビングに入って来た。
私はソファで寝たままで蓮が帰って来たのもわからず。
「美優こんな所で寝てたら風邪引くよ」
「……」
「美優」
夢心地の私は蓮の優しい声なんて聞こえなくて……
スヤスヤと寝息を立てて眠っていた。
そんな私の頭をそっと撫でた蓮は愛しそうに見ていて、おでこに軽いキスをすると、
「美優ここで犯されたいの?」
と、頬っぺたを摘まむ。
「痛……い」
「美優」
「う……ん」
ゆっくり目を開けると私の前に口元を上げてしゃがんだ蓮と目が合って、
「蓮……おかえりなさい」
「なんでベットで寝ない?風邪引くって」
「うん……私ね……今日ずっと具合悪くて……お風呂入ったらもっと具合悪くなっちゃって……横になってたら寝ちゃったみたい」
蓮は私のおでこに手を当てて、熱はないねって心配そうに眉を寄せて……
「具合悪いのいつから?」
「お昼食べた頃かな……」
「病院行く?」
「ううん。眠ったらだいぶ良くなったみたい。熱もないし病院は行かなくても大丈夫」
「堪えられなくなったらちゃんと言って」
「うん……うわっ」
蓮は膝裏と首の後ろに手を入れて
「なんか軽くなった」
そう言って私を抱き上げた。
「痩せたのかな?でも軽くなったのは嬉しいな」
「……」
あれ?蓮なんにも言ってくれない。
「やっぱり病院行こう」
「ほんとに大丈夫。また具合悪くなったら今度はちゃんと病院行くから」
「絶対俺に隠さないで言って」
「うん、わかった」
ベットにゆっくり私を降ろすと布団を掛けてくれて、
「今日は先に寝て。俺は風呂入ったらすぐ寝るから」
「うん。おやすみなさい」
「おやすみ」
チュッと軽く触れるだけのキスを落として蓮は部屋から出ていった。
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