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睡眠をたっぷりとったお陰で早く目が覚めた。昨日と違って体もだるくないし、すっきりしている。
隣に眠る蓮を起こさないようにそっと布団から出て足をフローリングに着地させ、忍び足で静かにドアノブを回した。
「何作ろうかな」
冷蔵庫を開けると、ひやっとした空気が流れて身が縮まる。
「あ、玉子あった」
玉子のパックを取ろうと手を伸ばした。
「うっ」
突然、今まで経験したことのない胸のむかつきが襲ってきて、私は口を押さえてトイレに走った。
吐きたいのに吐き出せない……
自分で胸を擦りながら、ふと頭の中にある言葉が過った。みるみるうちに顔が蒼白になっていく。
「私……生理……きてない」
最後にきたのは……
慌てて手を出して、2月、3月……今月……指を曲げて計算すると……
3ヶ月もきていないことに気付いた……
咄嗟に下腹部に触れる。
私……妊娠してる……かも……しれない。
私は身の毛が立つような思いで呆然と立ち竦む。
「嘘……ただ体調が悪いだけだもん」
でも熱もないのに昨日の体のだるさ。そして生理がきていないのは紛れもなく事実。
「どうしよう……」
涙がポタポタと溢れてくる。
蓮に言って困られたら……
喜んでくれなかったら……
言えない。蓮には言えない。
蓮に迷惑を掛けたくない。
ただそれだけしか今は思えなかった。
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