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「これは美優一人の問題じゃないよね。どうしてそうやって一人で抱え込む?俺は誰よりも美優を守れる自信はある。だからもっと頼ってほしい」
「ごめ……んね。私怖かったの。妊娠したって言ったら……蓮が離れて行っちゃうんじゃないかって……」
「ほんと美優はバカだね」
蓮が私を抱き締める腕がギュッて強くなって……
「病院行こう。今すぐ行こう」
「でも仕事が……」
「なんとかなる。俺が会社に連絡するから。今は美優の体の方が大事」
「蓮待って。病院まだやってないよ」
「あ、そっか。じゃあ、ベットで寝てたら?それとも……お腹……お腹冷やさないようにしないと」
蓮ってば、気が動転しているのかな。
私、病人じゃないのに。
「ふふっ」
「何?」
「だって慌てなくてもいいのに」
「赤ちゃんに何かあったら大変だから」
「急がなくても大丈夫。それに私、今は具合悪くないし、お腹痛くないんだから暖かくしなくてもいいの」
「なんかじっとしてらんない」
慌てたり、焦ったりしない蓮がこうやっている姿を見ると、蓮に知られてよかったと思った。
きっと知らないままだったらずっと私一人で悩んでた。
結局は一人で解決なんてできなくて、蓮に助けてもらってる。
これからもずっと蓮はこうやって、私に手を差し伸べてくれるんだね。
「美優」
「うん?」
「ここにいるのかな、俺達の赤ちゃん」
そう言った蓮は不器用そうに私のお腹を優しく撫る。
そんな蓮の姿に胸が熱くなり涙が込み上げてきた。
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