19章

19/19
前へ
/549ページ
次へ
「ごめん。俺のせいで辛い思いさせて……」 「違うよ。蓮が悪いんじゃない。私の体が……」 泣かないようにすればするほど、息が苦しくて余計涙が出てくる。 枕は涙でびしょ濡れで、そんな私に蓮の人差し指が目尻にそっと触れて拭ってくれる。 「美優……俺」 うん?と首を傾げれば 「美優のこと大事にするから。もっともっと大事にするから」 蓮は寝たまま、私の頭を強引に胸へ押し付け耳元で 「ごめん」 って、か細い声で呟いて、それがいたたまれなくて私は蓮にしがみつくと、蓮は何も言わずただ頭を優しく撫でた。 今回は妊娠していなかったけど…… 次は心から喜べるような形で妊娠を知りたい。 私も蓮も笑って、よかったねって言える、そんな報告ができればいい。 それはきっとまだ先で…… いつか蓮にそっくりな子をこの腕で抱きたい。 そんな夢を想像しながら私は蓮の腕の中で幸せな笑みを浮かべ眠りについていた。 頭を撫でてたらいつの間にか美優は眠っていた。 昨日からいろんなことがありすぎて疲れたんだろ。 無邪気な顔で眠る美優を見れば、こういう間違いは二度とさせてはいけないと本当に思った。 妊娠していなかったことはショックだったけど、俺以上にショックを受けたのは美優だ。 それを考えただけで自分の無責任な行動に嫌気が差す。 口だけだったらなんだって言える。 でもそれじゃいけないんだ。 美優を守るにはそうじゃいけない。 俺は眠る美優の頬にキスをして、肩まで布団を掛けると起きないように首の下に手を入れた。 そして頭を引き寄せて美優の温もりを肌で感じながら眠りについた。
/549ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23659人が本棚に入れています
本棚に追加