20章

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「とにかく蓮を探さなきゃ」 右に行く?それとも左? 分かれ道の前でどっちに行くか悩んで立ち止まった。予想なんてつかないけど…… 「右だ」 なんとなくだけどこっちにいるような気がして…… 周りをキョロキョロと見渡し蓮を探すけど、また人混みに揉まれ行き先を見失いながらも、とにかく見つけたいと必死に走る。 「あれ?ここさっき来たよね?」 私はほんとに迷子になったみたいだ。さっき貰ったパンフレットを拡げて、まずは落ち着いて今いる場所を確認する。 「えっと……ここはライオンの前で……」 入口は…… 私こんな所まで来ちゃってたの? パンフレットによれば入口から一番奥の所まで来ていたらしい。 「はあ……蓮どこ行ったんだろう……そうだ携帯!」 バックに手を入れてそれらしき物を掴む。 着信ランプが点滅している。間違いなく蓮だと確信して、開いて見ると…… 「やっぱり」 10分前の着信で折り返し蓮に電話をしたけど…… 騒がしい所にいるのかまったく繋がらない。 はぐれてしまってどうしようもない私は木の下にあるベンチに腰掛けて、鳴ることを期待して携帯を握っていた。 日差しが強くなってきたせいか、たまに吹く風で枝の隙間から太陽が当たる。 喉も渇いてきて、体も汗ばんできた。 ここにいても蓮が来てくれるとは限らない。 携帯を片手に立ち上がった。 「美優!」
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