21章

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ある日の昼下がり、梨花と楽しく昼ごはんを食べていた。 「今日も神堂部長かっこいいね」 「あっ、笑った」 「キャーこっち見た!」 今日はやけに蓮のファン達の熱い視線と黄色い歓声が食堂内に響き渡る。 「今日のあいつってそんなに格好いいの?」 梨花ったら蓮の行動をじっと見つめて、それも眉を上げて流し目。 極めつけファンの子達をギロッと睨んで。 「ふん、いつもと同じじゃん」 鼻で息を吐く姿はそりゃあもう迫力満点。 梨花には誰も太刀打ちできないって感じ。 「いちいちうるさいのよ。アイドルじゃあるまいし」 確かに蓮はアイドルじゃない。でもそう思われるほどの美貌の持ち主。 「まさか美優もあいつと付き合ってなかったら、あの中にいたんじゃないでしょうね」 「フフッ、まさか。だって私大嫌いだったんだよ」 「あ、そうだったね」 懐かしいな。ほんとに蓮のこと大嫌いだったのに。 それが今はこうやって付き合ってる。 運命ってほんとわからないもんだな。 「あ、そうそう。桐谷課長(キリヤ)が帰って来るらしいわね」 梨花はコーヒーをテーブルに置いた。 「桐谷課長?私、その人知らないんだけど……」 「私も知らないよ。だって私達が入社する前に海外任務で転勤した人だからね」 「ふーん」 「かなりのやり手でしかもイケメンだって聞いたのよ」 梨花はいろんな所から情報を仕入れてくる。 私には関係ないことだけど。 「その桐谷課長が私達の課に帰ってくるの」 「へー」 梨花ったら松田さんがいるって言うのにずっと桐谷課長の噂話をしゃべっている。 とにかく仕事ができて、みんなに信頼されて紳士的で大人の魅力があるとか…… 「ちなみに独身だって」 いやいやそれ聞いてないから。 「あいつを上回る奴ってこと」 そう言って梨花は蓮をちらっと見た。 「興味ない?」 「まったくございません」 私は蓮以外の人に興味なんてないもん。
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