21章

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昼休み、梨花と社員食堂に来ていた。 さっき桐谷課長がカレーの話をしていたから、つい私も食べたくなってカレーにしちゃった。 そして釣られて梨花もカレーにして、二人でいつもの奥の席に座っていた。 「どう桐谷課長?」 相変わらずここのカレー辛いね、なんて言いながら梨花は聞いてきた。 「うーん」 「うーんって何も感じなかったの?」 「さっぱりした感じ?」 「はあ?さっぱりって……答えになってないよ、美優」 だってなんて答えていいのか…… 蓮を見てた時の目付きを言うなんて告げ口してるみたいだし…… 邪悪な感じも言うべきじゃないし…… 「あっ、蓮と同期みたいだよ」 と言うと梨花の眉がピクッと動いた。 「同期ね……」 梨花は何か察知したのか何度も首を縦に振って頷いている。 「梨花どうした?」 「ううん。同期にしては桐谷課長って落ち着いてるよね」 「あ、それ私も思った」 うん?っていうことは蓮が落ち着いていないと…… いやいや、見た目は若く見えるけど中身はしっかりしてるもん。 「でもどうして美優が桐谷課長に付いたのかね……そこが私の疑問。だって私だっていいじゃない」 確かに最初は私もそう思った。 「どうして美優だったのか聞いてみてよ」 って他人事のように梨花は言うけど。 実際今日来たばかりで話しという話しもしてないし。 コミュニケーションということで今度聞いてみようっと。 私達の席から遥か向こうに女子達に囲まれながらカレーを食べている桐谷課長ががいて…… 私は物珍しそうに眺めていた。
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