22章

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「美優!こっちだよ」 上半身を目一杯伸ばし、手を上げて大きな声で叫ぶ梨花。 もお、そんなに大きな声を出さなくても聞こえるのに。 梨花の所まで歩きながら蓮を探せば梨花と同じテーブルにいて…… 蓮の広い背中を視界に入れ、振り向いてと願うけど…… 願いは届かず振り向いてくれることなく……梨花の所に着いてしまった。 私がテーブルの前に行くと梨花が一つ席をずれて、 「美優はここ」 と、蓮の真向かいに座らされる。 嬉しいけどさっきのことがあって、怒っている蓮の真っ正面はちょっときつい。 蓮は私が目の前にいてもまったく見ることがなく、私は見てほしくてさっきから視線を送っているのに…… 携帯を見てたり、隣の人としゃべったりしている。 「ここ座っていい?」 と、なぜか桐谷課長が私の横にきて…… 私の返事も聞かないうちに桐谷課長は座っていて。 この状況で隣に座るのはまずいんじゃ…… そう思ってまた蓮をちらっと見ても、まるで蓮の視野には私が映っていない感じで。 わざと倒れたんじゃないし、あの時何かあった訳じゃない。 逆に助けてもらったお陰で怪我をしなくて済んだ。 それだけなのに蓮は怒っていて…… 居心地の悪いこの空気にため息を付いて、置いてあったおしぼりで手を拭くと、 「どこも怪我してなかった?」 桐谷課長がまたさっきのことを掘り出してしまい、私は苦笑いをするしかなかった。
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