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駐車場に止めてあった蓮の車に乗って……私がシートベルトを締めようとしたら……
蓮はハンドルに手を置いてそこにおでこを付け顔を伏せて、
「はあ……」
と、とても深いため息を付いた。
やっぱり……怒ってる?よね……
結果的に私は一人で解決できなくて、蓮に助けてもらって……
もし蓮が来なかったら今頃どうなっていたか……
「蓮……ごめんね。私また……迷惑」
「間に合ってよかった」
「え……怒ってるんじゃ……」
私はもっと怒りの説教があるんじゃないかと思っていたのに蓮から意外な言葉が出てきた。
「怒ってるよ。勝手に一人で行ってしかもキスまでされてるし」
「キ、キスされたこと知ってたの?」
「はあ……やっぱりね」
今度はさっきよりもっともっと深いため息で……
「あ……」
私の口から思わず声が出てしまっていて。
「なんとなくそう思ったから聞いてみたんだけどやっぱりされてたんだ……」
蓮の誘導尋問にまんまと引っ掛かってしまった私は桐谷課長にキスされたことを自ら白状してしまっていた。
「ごめんなさい」
ハンドルから顔を上げて、蓮は私の方へ顔を向けて
「ほんとにそれ以上何もない?」真剣な眼差しで私を見つめる瞳に吸い込まれそうで、嘘なんてないけど蓮の瞳に見つめられれば嘘なんて絶対つけない。
「ほんとにそれ以上何もないです」
眉を下げてふっーと息を吐いた蓮は、
「美優がそう言うなら信じる」
安心したのかほっとした顔で頬を緩めて笑みを溢した。
「ほら、シートベルトして」
「あ、うん」
慌ててシートベルトを着けてフロントガラスへ顔を向ければ、それを待っていたかのように蓮はエンジンを掛けてアクセルを踏んだ。
「帰ったらお仕置きだから覚悟してね」
「え……えっ?」
「そんなの当たり前だよね」
「あの……お仕置きはちょっと……」
「美優に拒否する権利はないことぐらいわかるよね?」
そうだけど……悪戯っぽく笑う所がとっても怖くて。
「わかりました」
そう言うしかない私は肩を落とした。
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