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マンションに帰って来て、着替え終わった私と蓮はソファに座っていた。
ずっと気になってたことがあって……
それはどうして梨花じゃなくて蓮が来てくれたのか……
私は蓮に聞いてみた。
「梨花から……連絡あったの?」
「今日はたまたま春樹と一緒だったんだ」
私は蓮の部下じゃないからホワイトボードに書いてあることしかわからなくて、誰とどこへ行くというのは聞かなければわからない。
「鈴木は最初、俺の携帯に掛けたらしいんだけど充電切れてて春樹に連絡してきた」
そっか……そうだったんだ。梨花が蓮に連絡を……
携帯やっぱり充電切れてたんだね……
「美優が桐谷とホテルに行ったって聞いて俺……頭の中真っ白になってた」
ズキンと痛む心臓に私は手を当てて蓮の言葉を待つ。
「鈴木から連絡来た後……そこからどうやってホテルに行ったか記憶ないんだよね」
顔を引きつらせ苦笑いしてるけど……どれだけ私を心配してくれたか蓮の言葉で痛いほどわかった……
またしても私は蓮に心配を掛けてしまって……申し訳なくて……喉の奥がジリジリと痛くなる。
「俺に連絡くれた?」
うん、と頷くと蓮は髪の中へ手を滑らせてゆっくり私の頭を撫でながら、
「俺を頼ってくれたんだよね?」
うん、うんと私がまた頷くと、蓮は口元を上げてニコッと笑って……
その笑顔が嬉しいのに蓮のその時の気持ちを考えたらまた胸が痛くなって……
「バカ美優」
そう私を呼んで泣きそうになっている鼻を摘まみ、
「ここにちゃんと帰って来たんだから俺は嬉しいよ」
って、口角をギュッて左右に上げて愛しい目で見てくれる蓮に、涙を流しながら私も微笑んだ。
「蓮」
そして思いっきり蓮の胸に飛び込んで、肺いっぱい蓮の匂いを嗅んだ。
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