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「はあ、はあ」
ここがどこなのかわからなくて、とにかく家に帰りたくって急いでタクシーを探した。
神堂部長のマンションの目の前は大きな道路だったためタクシーに乗ることができて、私は運転手に住所を告げた。
走ったせいか息が切れてしまった。
まだドキドキしている心臓は走ったせいなのか、それとも……
からかわれているのに神堂部長のあの目が脳裏に焼き付いていて、まだ抱き締められた感覚が体に残っている。
そして香水の匂いも……
心臓がギュッと締め付けられて痛い。
酔った自分が悪いのはわかっている。
酔った私を介抱してくれた神堂部長の優しさだっていうのもわかっている。
でもどうしてあんなことを……
抱き締められることが嫌じゃなかった。
キスも……したいと思った。
そんな自分が惨めで情けなくて……
さっきまで握られていた手首がまだ痛い。
そこをなぞるとやっぱり心臓がチクっと痛くて、初めて知った神堂部長の会社以外の顔がまた頭を過った。
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