25章

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蓮が思い出したかのように、 「あそこに食べに行こう」 って言い出して…… 「うん?」 あそこってどこだろう?と首を傾げれば、 「まだ美優を連れて行ってなかった」 「どこに?」 って聞けばうーんとか言ってその先を教えてくれない。 「ねぇ、どこ?どこに食べに行くの?」 「美優イタリアン食べれるよね?」 「うん……食べれるけど」 「じゃあ、決まり」 ニコッと笑った蓮は車のキーを持って、携帯とお財布をジーンズのポケットに入れた。 どこに行くのかわからないけど……蓮が行こうっていうなら…… 準備ができた蓮は私より先に玄関に行ってしまい、私がまたモタモタしていると、 「早く」 と玄関から叫んで私を焦らす。 バックを持って小走りで行くとドアを開けて待っててくれて。 足元を見ないでミュールを履こうとして、 「うわっ」 ミュールに足を入れた瞬間、よろけて倒れそうになる所をすぐ蓮の腕が腰に回って支えてくれた。 「俺がいなかったら転んでたよ」 「ほんと蓮がいてくれてよかった」 「いつも俺が一緒って訳じゃないんだから気をつけて」 「はーい」 蓮の肩を借りて片方ずつミュールを履く。 私が履き終わるのを確認したら、 「ほら行くよ」 と、蓮の手が私に差し出されて私は大きな手を掴む。 絡めた手を見れば胸がポカポカして温かい。 どこに行くかわからないけど蓮と一緒だとどこに行くのも楽しみ。 私は軽い足取りで引かれる手について行った。
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